【REVIEW】『チェイサー』のナ・ホンジン監督最新作!韓国サスペンススリラー『哭声/コクソン』(3/11公開)!ファン・ジョンミンが抜群の存在感!
|本作はいわゆる〝村もの〟サスペンスで、韓国映画好きな人なら『黒く濁る村』や『カエル少年殺人事件』を思い浮かべるかもしれない。日本で言えば『八つ墓村』で、おどろおどろしさや因縁めいたところが通じる。
主人公の警官を演じたクァク・ドウォンは、3月4日から日本公開となった『アシュラ』で悪烈な検事を演じているが、これまで悪徳検事、影の黒幕などを演じてきた名悪役。本作で初の主演抜擢となった。普段は主役を張らないドウォンの起用により、観客に余分な先入観を抱かせず、現実ではあまり起こりそうにない本作での怪事件にリアリティーを持たせることに成功している。
そして何と言っても、中盤から名霊能者として登場するファン・ジョンミンだ。彼の放つオーラと韓国の国民的人気俳優の登場で画面がいっきに引き締まる。霊能者は村の怪事件の正体を明かそうとするのだが、その様子はミステリーでの名探偵のようで、いわば『八つ墓村』における金田一耕助だ。また、今年1月に日本公開されたばかりの『愛を歌う花』で大衆歌謡の歌姫を演じ、美声で魅せたチョン・ウヒが事件の目撃者として出演し、物語に奥行きを与えている。
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text by Shigeki Nakamura