【BOOK REVIEW】スコットランドの鬼才 カミラ・グルドーヴァのデビュー作「人形のアルファベット」(河出書房新社)2025年5/15発売―言葉の羅列が生み出す、不幸で幸せな幻想世界

┃英語圏で注目を集める、カナダ出身でスコットランド・エディンバラ在住の作家 カミラ・グルドーヴァによるデビュー作「人形のアルファベット」(上田麻由子訳/河出書房新社刊)が2025年5月15日に刊行された。
今回、カミラ・グルドーヴァの初の長編作品にして邦訳第二作「楽園の子どもたち」(上田麻由子訳/河出書房新社刊)が8月27日に刊行されたのを機に、「世にも奇妙な物語」などを手がける脚本家・中村樹基が前作「人形のアルファベット」をREVIEWする。
カミラ・グルドーヴァは、2016年に「ワクシー」(本書収録)でアメリカの文学賞 シャーリイ・ジャクスン賞(中編部門)を受賞(翌年の英国幻想文学大賞最終候補)、2023年にはイギリスの老舗文芸誌「グランタ」の「若手作家ベスト20」に選出されるなど、注目を集める作家の一人。
題名の「人形のアルファベット」と聞いて、ヘンリック・イプセンの、人形のように生きることを強いられてきた女性を描く「人形の家」や、〝人形のABC〟、つまり人形のような人々の生き方や常識といったイメージが浮かぶ。実際、「人形のアルファベット」は、本書に収録された意味深な短篇の題名であり、人形のアルファベットは11文字でできているという。
本書は、ほぼ同一の世界観の中で生きる、不完全な〝人形〟のような、主に若い女性を主人公とした13編の短篇が収録されている。
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