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【BOOK REVIEW】全世界100万部を突破の問題作、アグスティナ・バステリカ著「肉は美し」(河出書房新社) 2025年10/28発売―名作レトロSF映画の味わい

全世界100万部を突破。人肉食が合法化した社会を描くディストピア食人ホラーSF、アグスティナ・バステリカ著「肉は美し(うまし)」(宮﨑真紀訳/河出書房新社刊)が2025年10月28日に刊行された。
今回、「世にも奇妙な物語」などを手がける脚本家・中村樹基が、ゴールデンウィークに読みたい一冊としてREVIEWする。

あらゆる鳥獣が謎のウイルスに感染し、それらから人が感染すると致死率が高いため、ペットを含む家畜はすべて殺処分された近未来。肉を求めて人々は移民や貧民を襲うようになり、政府はついにヒトの飼育・繁殖・屠畜・加工を合法化した。罪悪感から、家畜化されたヒトは〈頭〉、人肉は〈特級肉〉と呼ばれるようになっていた。

〝食人〟と聞くと、『羊たちの沈黙』のレクター博士や、『悪魔のいけにえ』の殺人一家を思い出すが、本作では血が噴き出すような直接的なグロテスクな描写はなく、「クレイグ食肉処理工場」の重役マルコスの日常を通して、食人というタブーを静かに描き出す文芸SFとなっている。

本作はコロナ禍前の2017年に書かれた作品。狂牛病、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザが猛威を振るい、食肉価格が高騰する昨今、あながち絵空事とは思えない世界観が恐ろしい。

狂牛病は同族食いから発生した病として知られ、人もまた食人によって「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」という致死的な病を引き起こすリスクがある。本作では現実の牛肉同様に〝危険部位〟を取り除き、〈特級肉〉として精肉しているようではあるが……。

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